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なぜ「夏休みの宿題が終わらないから自殺を選ぶ」のか – 考察


宿題を終わらせたい!という方は当ブログのこのエントリーをご覧ください!

新学期早々、衝撃的なニュースが飛び込んできました。以下毎日新聞の記事を引用します。(一部省略)

3日午前8時10分過ぎ、小学6年の女児(12)が倒れているのを通行人が見つけ110番した。女児は近くの自宅3階(高さ約7メートル)から転落したとみられる。頭や腰を強打しており、意識不明の重体。熊本県警熊本北署によると、女児は同日朝「夏休みの宿題ができていないので学校に行きたくない」と話していたといい、自殺を図った可能性もあるとみて家族から事情を聴いている。

小6転落重体:自殺図る?「夏休み宿題できてない」 熊本-毎日新聞

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短絡的にも見えるこの図式、なぜ成立してしまうのでしょうか。想像でしかありませんが、ちょっと考えてみます。

また、宿題とどのようにつきあうべきか、自分の見解を述べてみます。

おことわり:心理学などをきちんと学んでいない教員5年目の若造が、経験を基に想像で書いていることが多いです。追試されたい場合は、文献等で調べ、検討することをおすすめします。

1. 「真面目」であるが故に起きる

TwitterやFacebookに寄せられたコメントを見ても、「終わらないから自殺はあまりにも行き過ぎだ。」というコメントが散見されます。しかし、考えたいのは上の図で省略された、心の葛藤です。

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少し情報を増やしてみました。結論からいうなら、自殺を考えるきっかけは「逃げ場の不在」ではないかと思っています。そして、この逃げ場の不在が起きやすいのは、真面目な子、素直な子です。

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宿題が終わらないことに対して、それは「罪」であるというラベリングをしやすいのが、真面目であり、素直な子だからこそなのです。

2.周囲が行える、アクションとは

少なくとも、3つ考えられます。

  1. 罪というラベリングをできる限りさせない工夫
  2. 逃げ場を作る工夫
  3. 宿題を終わらせる工夫

3-1 罪というラベリングをできる限りさせない工夫

 勘違いされては困るので書きますが、宿題が終わらないことは本来よくありません。ただ、それは自殺を考えるところまで到達するほどの罪ではありません。罪は罪ですが、死をもって償うほどの罪ではありません、という観点で、罪というラベリングを軽くする工夫を考えます。

3-1-1 「宿題終わったの?」の頻度を減らす

簡単にできることの一つ目はこれです。何かにつけて、「宿題は終わったの?」と子どもに尋ねることをやめます。代わりに、「どこまで進んだ?もってきてごらん。」と言って、5分間だけ宿題の面倒をみる。それだけで十分です。親は、夏休み後半になると強い口調で「夏休みの宿題はどうなってるの!あれもこれも、全然終わってないじゃない!全くあんたは本当にだめな子だね!」と人格否定までしがちです。(今回のニュースがそうであったかは分かりません)その瞬間、子どもは親に宿題が終わらないという悩みを打ち明ける選択肢を閉じます。そして、言われた回数に比例して、重い罪だと認識するのです。

3-1-2 担任も追い込まないように配慮する

これも大切ではないでしょうか。まず、夏休みの宿題は何のために出されるものなのか、理解させます。私は、計画的に進めることの大切さについて伝えました。また、宿題の取り組みには個人差があることを認めておきます。「終わらなくてもいい」とは言いませんが、「自分のできる限りで取り組んでみよう」と声をかけておきます。また、宿題について相談してもよい日を設けておくと、もしかしたら相談に来るかもしれません。大事なのは相談に来てもよい環境作りなので、実際来なければそれはそれでいいと思います。

3-2 逃げ場を作る工夫

3-2-1 保護者はよき相談相手

宿題の進行を、子ども任せにすることのないように留意します。その日の終わりに、5分間だけ時間をとってあげます。そして、ちょっとしか進んでいなくてもそれを認め、ほめます。それだけで十分です。

「あ、今日も暑かったのに、きちんと机に向かったんだね、えらい!そうだなぁ、明日は今日よりも5分だけ多く取り組んでみよう。」

適切なフィードバックをしながらほめる+次のめあてを伝える パターン。

「そっか、今日は暑かったし、取り組めなかったよね。見たかったのに、ちょっと残念だなぁ。どうしたら10分でも取り組めるようになるかな?」

アイメッセージで価値づける+改善案を子ども自身から出させる パターン。

とにかく大事なのは、5分でいいから時間を作る+頭ごなしに否定しないことだと思います。これがやってみると大変なんですよね。実際書いていて「自信ないかも。」と本人も思いますが、できる範囲で取り組めばいいんだと思います。5分はきちんと生活時間の中に習慣として組み入れてしまえば、たいしたことはありません。追加の時間と捉えると、イライラします。はじめから時間を捻出しましょう。

3-2-2 担任、友だちとの1学期の関係作りが反映される

夏休み中、友だちとはどんな様子で遊んでいるでしょうか。宿題の話題になったとき、一緒にやる?とか、相談している様子があったら、お互いを認め合っている証拠です。友だちがきちんと受け皿になってくれます。一安心。宿題終わらなかったら担任の先生に厳しく指導される!とビクビク始まっていたら、様子を見届けましょう。少なくともそのような状態で担任に頼ることはないです。先手を打って保護者から担任に連絡して共通理解を作ってしまってもよいと思います。その結果を子どもに伝えることで、安心感を持たせることができます。

3-3 宿題を終わらせる工夫

最も大切です。何はともあれ、終わらせるのが先決です。そのために大切なのは「計画性」です。

3-3-1 夏休みのはじめに宿題を全部リスト化する

たいてい学年便りにリストアップされていますが、もっと細かくリストアップします。「プリント1枚目」まで細かくやります。

3-3-2 夏休みの計画表を作る

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「夏休み 予定表 その年の西暦」あたりで検索すると、便利なものが公開されていますので、活用しましょう。
上の画像は幼児の学習素材館さんが公開しているカレンダーです。

ここに、どんどん上でリストアップした宿題を入れていきます。細分化してあるので、一日の取り組み時間は30分程度になるでしょう。また大切なこととして、「調整期間」を設けることと、「計画的に休む」ことをおすすめします。なお、旅行等の日程が分かっていたら入れ、その日は休みにします。

調整期間には、そこまでに終わっていなかったり、振り返りたいことをやります。また、休みは計画的に入れることで、突発的にだらーっと休むのを防ぎます。「ここまでできたら休めるぞー!」というモチベーションにもなります。

3-3-3 毎日振り返る

何度も繰り返しているのですが、毎日振り返ることが大切です。上で作った計画表を基に、振り返ります。小さなことでも認め、ほめます。残念だったときはアイメッセージで伝え、改善案を話し合います。

まとめ

夏休みの宿題には、それまでの保護者、教員、子どもの取り組みが反映されてきます。上に上げてきた改善案は、よくよく考えれば、夏休みの時以外でも重要なことです。保護者が、日頃から「無理のない範囲で」子どもたちと関わっていければ、夏休みの宿題もその延長として、保護者への負担を変えずにきちんと終わらせることができます。

自殺まで考えてしまう心理は、逃げ場のない孤独感と、宿題が終わらないことへの罪悪感が作用し合って生まれるものだと考えます。それを防ぐために、できることはたくさんあります。ただ、「あれもやらないと」と保護者がため込んでしまうと保護者がストレスを抱えます。お互いできる範囲で、計画的に取り組み、乗り切りましょう。

さらに、ぶっちゃけていえば、宿題の質は後回しなんです。とにかくできてりゃいいんです。そのくらいの心もちでいていいんです。調整期間に時間があったら、質を高める取り組みをしてください。FacebookのCEOもこう言ってます。

20120209

いい言葉ですね。ただ、この言葉、まずは自分にグサリと刺さるのが難点です・・・。

宿題を終わらせたい!という方は当ブログのこのエントリーをご覧ください!

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