アーカイブ

特別養護老人ホームへ研修に行ってきました

正規採用から5年目の教員は、社会貢献活動として、2日間の研修が義務づけられています。
教育委員会が特別養護老人ホームに行くように割り当ててくださったので、7日、8日の二日間、行ってきました。

スポンサーリンク

正直、苦手に感じていた

特老には、大学の時と初任研と、2回行っています。(それぞれ別の場所ですが)
そこでは、完全に邪魔者でした。何にもできない。そして自分、お年寄りとのコミュニケーションが下手すぎた。
何にもできないまま、そして大した話もできないまま、お役に立てることもなく研修が終わっていたのが過去。

なので、またか…とか、お年寄りや認知症の方はちょっと苦手だなぁ、なんてマイナスイメージばかりが先行した中での体験でした…。

見方が変化していた

でも、5年目のせいなのか、それとも、自分がどこかで変わったのか、分かりませんが、明らかに見方がちがう。
もちろん以前と同様、資格も責任もないので、できることは限られています。

でもその中で気がつけば、
「この立場としてできることはないか」とか、
「この大変そうな現状を変えるためにはどういうサポートができるのか」とか、
「こういった施設の方と子どもたちが交流したら、どんな気づきや学びがあるだろうか」みたいな視点をもちながら、2日間を過ごしていました。

変な話、耐えていた過去の体験から、気づきを得ようとしている今回の体験へと、体験の質がシフトしていたのは、自分でも意外でした。
確かに苦手意識を180度ひっくり返すようなことはできませんでした(今でもちょっと苦手)が、教員としてというよりも、一人の人間としての学びが多かったように思います。

介護の現場には解決しなくてはならない問題が山積している

今回2日間の研修を経て、介護の現場はなんて大変なんだとしみじみ感じました。
特に、人が足りない点。全ての元凶です。

介護の現場で働いている人々の給与が安すぎるという話をニュースで聞いています。
あれだけ専門的な知識が必要になり、そして体力的にもキツい仕事なのに、給料が安いというのはちょっと信じられません。
朝の申し送り事項の多いこと多いこと。「○○さんが床に座っていたので要観察、○日までです。」「水分量チェックの人は、○○さん、○○さん、…、です。」
延々と続きます。そして最後のほうに事務の方からぽつりと、「以前入所していた○○さん、昨日病院にて亡くなりました。」という連絡。泣きたくならないんだろうか。
それでかつ薄給となったら、担い手はいなくなるでしょう。本当にそう思います。

介護の現場で働いている人たちは、「何のために」働いていこう、という使命感を持っているのか、気になりました。
お年寄りのQoLを上げること。余生を楽しくすごしてもらうこと。確かにそうなのかもしれません。でもかなりの高確率で、死が近い。本気で取り組んでも、どれだけ頑張っても、年に数名は亡くなっていくわけです。
すごく報われないような気がしてしまってなりませんでした。いったい何を「働きがい」としているのか。知りたくなりました。

ありがとうが言える人生を送りたい

認知症。会話が無限ループしたり、さっきご飯を食べたのにご飯を食べていないと怒り始めたり、見えるはずのないものが見えたり、様々です。
もちろん、一人でお手洗いに行くことも叶いません。当然、おむつをし、時間で交換することになります。

排泄介助として、私は何人かのお年寄りのおむつ交換を見させていただきました。そして、同じことをしても、お年寄りによって反応がちがうことに気がつきます。
ある方は、「ありが~たや、ありがたや」と歌い、ある方は、「こんなこともできないで、本当にすみません。本当にすみません。」と言い続ける。

何故、こんなにもちがうんだろう。そして、自分がこの場にいたら、どんな言葉を職員の方にかけたいんだろう。

自分だったら、やっぱり「ありがとう」をいいたいと思いました。そのためには認知症になろうがなんだろうが、ありがとうが言えるように、今から常にありがとうを心がける必要があるんだろうな、と思いました。

自分もいずれはお世話になるという意識をもつこと

しみじみ思いました。自分も将来はこういった場所に入所するときが来るのだ、と。元気なお年寄りばかりじゃないぞ、と。その時に、今のままの体制(介護という大きな枠で捉えたときの体制)は、明らかに無理があります。
解決すべき問題が山積する介護の現場を2日間という短い間ですが体験することができて、非常に勉強になりました。

学校に持ち帰ったとき、どうやってこの問題を伝えるか。子どもたちに知ってもらうか。ここが私の仕事です。夏休みの間、反芻しながら考えたいと思います。

スポンサーリンク

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする